#064 ロボットの「I」を何と訳す? | 特集『翻訳が紐解く文学と社会』section2

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9月は特集『翻訳が紐解く文学と社会』と題して、西崎憲さん(翻訳家/作家)と松永美穂さん(翻訳家/早稲田大学教授)をゲストにお迎えして、“訳す“だけではない翻訳の妙、ユニークさ、奥深さ、そしてインディーズとしての「日本翻訳大賞」についてお話を伺っていきます。
 
特集2回目は、前回に引き続き翻訳の手技についてお話をお聞きしながら、今年の「日本翻訳大賞」を受賞した2作品についてじっくり解説いただく回となりました!
 
ドイツ語翻訳を手がけるゲスト松永さん。作品から無意識に影響されることや、一文が長くなりやすい言語だからこその葛藤、原文の特徴を翻訳にどこまで出すのか、というお話に、言語が異なると工夫も異なるという気付きが。
 
そして気になる「第7回日本翻訳大賞」受賞作について、ゲスト西崎さんには、ユニークなキャラクター造形が作品の魅力の「マーダーボット・ダイアリー」(マーサ・ウェルズ/中原尚哉訳)について、例えば「I」を「弊機」と訳すことや、緊迫したシーンも「ですます」調を使うことの難しさなど、ロボットだけど不思議と人間味あるその性質が伝わるよう訳された中原さんによる翻訳の妙について。また、ゲスト松永さんがジャンル分けできない不思議な本と話す「失われたいくつかの物の目録」(ユーディット・シャランスキー、細井直子訳)については、章ごとに、書かれる対象も、書き方・文体もSF風・百科事典風のように異なる、他に例を見ない1冊を訳した翻訳家・細井さんの全力・誠実さなど、お二人のアツい解説に、読みたくなる…!と収録も盛り上がりました!
 
さらには、武田さんが「もしもし文化センター」でおすすめした書籍のこと、空前のエスプレットソニック・ブームなど、リスナーさんからの嬉しいコメントに”褒められて伸びる”など、オープニングやエンディングもお聞き逃しなく…!
 
そして、今回のHotProjectsは、京都北部の丹後地域に「まちまち案内所」なるものをひらくプロジェクトをご紹介!よくイメージされる観光案内所とは異なる、UIターン者がチームとなって手がけるからこその新たな交流の拠点、とても楽しみです!
 
 
ぜひお聞きください!
 
「MOTION GALLERY CROSSING」は、編集者の武田俊と演劇モデルの長井短が、日本最大級のクラウドファンディングサイト「MOTION GALLERY」のプロジェクトを紹介しながら「これからの文化と社会のはなし」をゲストとともに掘り下げていくラジオ番組。東京・九段ハウスの協賛でお送りいたします。
 


<もしもし文化センター>

番組のオンラインコミュニティ「もしもし文化センター」へは、下記よりアクセスいただけます!みなさんの参加をお待ちしております!もしもしーずあつまれ!
https://basic.motion-gallery.net/community/moshibun
 


<番組プレイリスト更新中!>

番組では、エピソードとゲスト&パーソナリティの選曲を織り交ぜたSpotifyプレイリストを更新中です!ぜひ「My Library」への登録お願いします!
https://open.spotify.com/playlist/6EY8LFSdS7B0OOl5wxldXr
 
「日本翻訳大賞」
https://besttranslationaward.wordpress.com/
 
『失われたいくつかの物の目録』ユーディット・シャランスキー著、細井直子訳(河出書房新社)
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309207940/
 
『マーダーボット・ダイアリー 上・下』マーサ・ウェルズ著、中原尚哉訳(東京創元社)
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488780012
 
「京都北部のまち京丹後で元材木屋を改装し、みんなが集まる・なんでも話せる・アイディアが膨らむ「まちまち案内所」を作ります!」
https://motion-gallery.net/projects/machi-machi
 


<九段ハウス>

https://kudan.house/
 


<ご意見・質問お待ちしてます!>

番組のハッシュタグ #mgcrossing
https://twitter.com/intent/tweet?hashtags=mgcrossing

<ゲストプロフィール>
西崎憲 (翻訳家・作家)日本翻訳大賞選考委員、文学ムック『たべるのがおそい』編集長。訳書に『郵便局と蛇』コッパード、『ヴァージニア・ウルフ短篇集』『ヘミングウェイ短篇集』(ちくま文庫)、『第二の銃声』バークリー(創元推理文庫)など。編纂・共訳に『短篇小説日和』『怪奇小説日和』(ちくま文庫)など。共訳書に『ピース』ウルフ(国書刊行会)など。著書に第十四回ファンタジーノベル大賞受賞作『世界の果ての庭』(東京創元社)、『蕃東国年代記』(新潮社)、『ゆみに町ガイドブック』(河出書房新社)『飛行士と東京の雨の森』『未知の鳥類がやってくるまで』絲山秋子賞受賞(筑摩書房)、『全ロック史』(人文書院)『ヘディングはおもに頭で』サッカー本大賞特別賞(KADOKAWA)など。歌集『ビットとデシベル』(書肆侃侃房、歌人名はフラワーしげる)。現在電子書籍や音楽のレーベル〈惑星と口笛〉主宰。音楽家でもある。松永美穂 (翻訳家・早稲田大学教授)愛知県出身、広島市の中学・高校を卒業。東京大学大学院人文社会研究科博士課程満期単位取得。訳書にベルンハルト・シュリンク『朗読者』(新潮社、毎日出版文化賞特別賞受賞)、カトリーン・シェーラー『ヨハンナの電車のたび』(西村書店、日本絵本賞翻訳絵本賞受賞)、ライナー・マリア・リルケ『マルテの手記』(光文社古典新訳文庫)、ヨハンナ・シュピリ『アルプスの少女 ハイジ』(角川文庫)など。

#064 ロボットの「I」を何と訳す? | 特集『翻訳が紐解く文学と社会』section2

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