コロナ防疫優等生・台湾はなぜ失敗したのか(日本語ダイジェスト版)――邱淑媞・元衛生福利部国民民健康署署長に聞く(2022年7月22日 台湾通信webradio)

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2022年7月22日台湾通信webradio 【コロナ防疫優等生・台湾はなぜ失敗したのか(日本語ダイジェスト版)】 邱淑媞・元衛生福利部国民健康署署長に聞く   台湾ではコロナ感染拡大が深刻だ。コロナ対策の優等生と言われてたいた台湾で、なぜここまでコロナが拡大したのか、まだ具体的な検証が行われていない。そこで、病理、政策の面から、専門家としての立場からの見解をうかがった。 ※このインタビューの中国語版は、すでに7月16日付けで3回に分けてこの台湾通信webradiでお送りしています。中国語がおできになる方は、こちらのオリジナルのインタビューをぜひお聞きください。   今回は日本語で、その内容とインタビューに至った経緯、台湾の人たちの反応をご紹介し、現在の台湾社会の現状の一端と問題点を考えてみたい。   【邱淑媞さんのプロフィール】 国立陽明医学院医学士、国立台湾大学公共衛生研究所予防医学組修士、国立台湾大学流行病学博士。感染症の専門家。 台北栄民総医院医師、台北市立和平医院医師 宜蘭県衛生局局長(1997~2001) 台北市衛生局局長(2001~2003)、SARSの感染防止対策に当たった。 衛生署国民健康局局長(2009~2013) 衛生福利部国民健康署署長(2013~2016) 現在は陽明大学医学院兼任教授(2019~)などを務めている   台湾はかつて、感染防止の優等生と呼ばれた。   台湾の方式は、もともとWHOの独立調査委員会の方式に合わせたもの 1.ゼロコロナ(魔系) 2.減災(仏系) 3.何もしない   成功かどうかを判断する要則傷病だけでなく、経済・生活の自由度も見る必要がある。   「1.ゼロコロナ」が最も成功。ゼロに近ければ、行動の自由度は最も高い。 1,病例を探す、感染ルートを断ち切る 2.公共衛生対策(拡散した時の対策、緊急警戒、ロックダウン) 3.水際対策   台湾は「1.ゼロコロナ」を採用。   台湾で当時、なぜ防疫がうまくいった。運が良かった。 1.中国から発生したため、民進党政権は躊躇なく直ちに中国との往来を停止。 2.SARSの経験。指揮系統などゼロコロナに向けた制度ができていた。 3.2020年第1四半期(1~3月)の時点で、防疫の3段階をすべて実施、   失敗の種 民進党は自由主義の政党。当初から市民の自由にできるだけ影響しないことを主張。経済に影響を与えないことが大前提。 例えば、台北市のマスクの義務付けに反対。水際対策を中国以外に広げることを避ける。2020年3月、市民の要求で3月にようやく「鎖国」。   2021年5月、感染が拡大した時、やはり3段階を実施し、抑え込んだ。 この時、同時に「ウイズコロナ」に向かうべきとの声が起きた。「インフルエンザと同じで怖がる必要はない」等。   市民は恐怖を感じる。オミクロンの段階に入っても、市民はやはり、「ゼロコロナ」を希望。   風向きが変わったのは、ワクチンの接種が進んだことから。 台湾が他の国・地域と違うのは、若い世代の接種を進めた。12歳から。これが防疫を難しくした。若い人は危険性が低い。自由が好き。動き回る。   「オミクロンは軽微、死亡率低い、怖がらなくて良い」などの宣伝を展開。 陳健仁・前副総統が指導。蔡英文・総統を初めとして民進党の多くの政治家が宣伝に参加。   地方自治体は非常に慎重。特に桃園市と高雄市。1月にはオミクロンを抑え込んだ。   感染対策の転換 4月1日 蘇貞昌・行政院長が「新台湾モデル」を提唱。正常生活、安定開放。 これ以降、防疫対策のレベルを強化していない。感染を放置。 オミクロンを抑え込んだものの、全面解禁。突然、本当に何もしなくなった。 ワクチン接種率を宣言、打てば「正常生活」に戻れると宣伝。集団免疫を強調。   感染拡大で、市民からの批判が高まる。拡散によって死亡率高まる。   こうした状況の中でも、新しい感染対策を組み直すことはしなかった。 感染が拡大しても、食堂での飲食も禁止しない、大規模検査もやらない。多くの子供が亡くなってから、ようやく地方自治体が独自に学校を閉鎖。   感染を防止するために必要なもの 1.予防のためのワクチン 2.早期発見のための検査 3.治療のための薬品 どれも準備ができないまま開放。感染が拡大しても、ブレーキを掛けないまま。   民進党政権、初期に感染対策に成功。 なぜ成功したのか分からない。 成功した鍵となる要素を放棄した   民進党が持つイデオロギーと判断ミスが感染拡大の原因。 海外の感染対策の経験を参考にしていない。   コロナは次々に変異株が現れる。集団免疫というものはない。   感染がひどいと言われた韓国に比べても、台湾の死亡率は高い   一つの国・地域に対する感染の衝撃、すべての死因を含む「超過死亡率」という指標でみるべき。コロナ感染による死亡の統計は、統計に表れないケースが多く正確ではない。台湾の「超過死亡率」は、韓国より低く、日本、ニュージーランドより高い。   「台湾は民主主義の防疫、中国大陸は強権主義の防疫」。これは正しくない。 中国大陸は「ゼロコロナ」を追求。ロックダウンが経済に影響。しかし、感染が拡大した方が経済に影響。犠牲はあるが、その犠牲を抑えながら、ゆっくり開放。温和な減災。合理的、理性的な開放。防疫対策は感染拡大の程度によって異なる。   台湾の市民の防疫意識は高い。行動を自粛する。 政府は市民と一緒になって感染抑制に臨むことが望まれる。 政策の重要性はさらに大きい。   「台湾は以前、感染抑制に効果を上げたため無菌状態だった。感染力の強いオミクロンが侵入すると急速に拡大した」。このような俗説は間違い。コロナに集団免疫はない。繰り返して感染する。   インタビュー:早田、本田 https://open.firstory.me/user/ckzuv0igg0edi0924qk6rd3e7/comments Powered by Firstory Hosting

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