[第1回]「乱闘だけではないーー混乱する台湾・立法院の裏側(星友康さん)」(2024年9月14日 台湾通信webradio)

リリース日:

2024年9月14日 台湾通信webradio 【[第1回]乱闘だけではないーー混乱する台湾・立法院の裏側(星友康さん)】   このインタビューは、4回に分けてお届けします。今回はその第1回です。   今年2024年5月20日に民進党の頼清徳さんが総統に就任しました。その前後に議会改革をめぐって、台湾の議会である立法院で、与野党の乱闘騒ぎが発生しました。日本にもニュースで伝えられたと思いますが、なぜそのような事態になったのか、理解することはやや難しいのではないかと思います。   そこで、今、台湾の議会、立法院はどうなっているのか、立法院の議員である立法委員とはどのような人たちなのか。多くの立法委員つまり議員さんたちと親しく付き合い、立法院に深く入り込んでいる星友康さんにお話をうかがいます。   その前に、予備知識として、最近の台湾の政治状況を解説しておきます。   今年、2024年1月13日 総統と立法委員の同時選挙の投開票が行われました。総統選挙は3人の候補が争い、与党・民進党の頼清徳さんが得票率40.05%で当選しました。次点は最大野党・国民党の侯友宜さんが33.49%、3位は第二野党・台湾民衆党の柯文哲さんが26.46%でした。   一方、立法委員とは、議会の議員です。台湾は一院制議会の立法院という議会があって、その議員を立法委員と呼びます。定数は113議席です。   今年1月13日の立法委員選挙では、与党・民進党は51議席、過半数割れです。最大野党・国民党52議席で、国民党系の無所属2議席を合わせると54議席です。第二野党・台湾民衆党は8議席です。   総統は民進党ですが、立法院での第一党は国民党という、いわゆるねじれが生じました。そして、第一党の国民党も過半数には達しておらず、主要3政党がいずれも過半数を取れないという状況となりました。   総統は民進党が勝利したものの得票率わずか40%、しかも与党・民進党は立法院でそれまでの過半数を失い、少数与党に転落しました。   その新しい立法院で、乱闘騒ぎが起きたわけです。その乱闘の原因となったのが、議会改革、つまり立法院の改革で、立法院の権限を強化するというのが趣旨でした。具体的には、総統に立法院での報告を求めるというのが最大の焦点です。これは、台湾の政治ではこれまでなかったことです。このほかに、立法院での立法委員による質問に、質問を受ける政府側の担当者が逆質問することを禁止する。立法院での質問には正直に答えなければならない、などといった内容が含まれています。   この議会改革の法改正は、野党第一党の国民党と、野党第二党の民衆党が協力して推進し、与党の民進党が反対しました。この議会改革は、もともと野党時代の民進党が提起したものですが、民進党は与党になるとこれを進めませんでした。攻守逆転して、野党となった国民党、そして民衆党が推進することになったわけです。   国民党と民衆党が提携して多数決になると、この法案は可決します。そこで与党・民進党は、法案の可決を阻止しようとして、議会の本会議場で野党側と乱闘になります。また、与党・民進党は立法院を取り囲むデモを発動しました。   最終的にこの議会改革の法案は、与党・民進党が阻止できず、可決・成立しました。ところがその後、民進党・頼清徳政権は、この法律には憲法違反があると主張し、憲法法廷に判断を求めました。これにより、この法律は、可決したものの実施できずにストップした状態となっています。   この議会改革で注目された立法院ですが、乱闘しなければならないほど、いったい何を揉めたのか。その後はどのような雰囲気なのか。今、立法院は何をしているのか、何をしていないのか。こうしたことについて話し合っていきたいと思います。   お話をお聞きする星友康さんは、台湾の内部事情を語る最適任者です。台湾に30年住み、台湾大学法学部に学び、博士号を取得予定です。立法委員との接触があり、しかも各政党の関係者とも広くお付き合いされています。台湾の政治の現場を最もよく知る人物です。   (インタビュー:早田健文) このエピソードへの感想をコメントで教えてください: https://open.firstory.me/user/ckzuv0igg0edi0924qk6rd3e7/comments Powered by Firstory Hosting

[第1回]「乱闘だけではないーー混乱する台湾・立法院の裏側(星友康さん)」(2024年9月14日 台湾通信webradio)

タイトル
[第1回]「乱闘だけではないーー混乱する台湾・立法院の裏側(星友康さん)」(2024年9月14日 台湾通信webradio)
Copyright
リリース日

flashback