EP#54 「あつい」は「あつい」。それなのに「夏は暑い!」は、なぜ「夏は熱い!」と書かないのか。「あつい」にまつわるあれこれを考えてみました
「熱帯夜」とか「熱風」とは言うのに、なぜ「夏は熱い」とは書かないんだろう。最近の暑さを思うと「熱い」の方が、ピッタリくる気がします。
「暑」という漢字には「炎熱のさま」とか「炎熱の気」とかいう意味があります。そしてもう一つ「気候のひどく熱する夏期」という意味があるのです。
つまり、「暑」は「夏」という季節を表している漢字と言えます。
「熱」にも「温度が高い」という意味があるのですが、必ずしも夏という季節を表すものではありません。心の動きなども表現することがあり「熱愛」「熱情」「熱血」などということばにも広がっています。「発熱」「微熱」は、体温が上がることを言います。
「あつい」には、他にも「厚」や「篤」という字もあります。「厚」はもののあつみを指したり、味わいが濃いという意味で使われたりします。「濃厚接触」ということばも、ここ数年よく使われました。親切なさまやを言うときには「厚意」ということばも使われます。
「真心を込める」「誠を尽くす」という心の有り様を「篤(あつ)い」と言います。「篤志(とくし)家」は、志の高い人、慈善事業に尽くす人を指します。
「あつい」には様々な意味があって、それに合わせた漢字が用意されているのも、面白いですね。
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