EP#90 「了解」は目上の人に使ってはならないって、本当なの?

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丁寧に言ったつもりが、実は失礼にあたっているんじゃないかと、悩む人が多いらしいのです。間もなく社会人になる人たちにとっては、ビジネスマナーとしても気になりますね。
今回は、「ご苦労さま」「お疲れさま」「了解しました」について、考えていきます。

「ご苦労様」は、「『ご苦労』をさらに丁寧にいう語。普通,目上の人には使わない方がよいとされ、『お疲れさま』を使うことが多い」と辞書にも載ってるんですね。

「雨の中をジョギングとはご苦労なことだ」というように、「ご苦労」という言い方には、「人の努力や骨折りをひやかしたり、やや皮肉をこめたりしている場合があります。こうしたことから目上には使わない方がいい、と言われているのかも知れません。

「お疲れ様」は、仕事などの疲れをねぎらうときに使います。仕事を終えて帰るときの挨拶としても使いますよね。「お疲れ様でした」とか「お疲れさまです(でした)」は、同輩や目上の人にも使えると、辞書にも書いてあります。

「了解しました」は、「事情を思いやって納得すること。理解すること。のみこむこと」とあります。「了承」とも言いますよね。これを目上に使ってはいけないというのは、無線などの通信で、通信内容を確認したときに「『ただちに行動を開始せよ』『了解』」といように、縦割りの組織での、命令・指令にたいしての短い返答に使われるからかもしれません。

ただ、命令や指令は上司から受けるので、「了解」が目上に使ってはいけないとは思いません。

ある出版社の編集者から「了解しました」を目上に使わない、というのはメールの書き方を扱った本で、ある著者がそう書いたことが切っ掛けだと言っていました。もしこれが本当なら「都市伝説的な語感」を広めてしまったということにもなると思うのです。

「承知しました」が「了解しました」より丁寧かどうかは、わからりません。だって、「おっと合点承知の助」なんてふざけた言い方もあるからね。

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