ep36-4 「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか」(岩尾俊兵さん)-幼馴染とアイドル・強い文脈と弱い文脈・開かれる儚さ-

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読書の時間36冊目、慶應義塾大学准教授の岩尾俊兵さんの著書、「日本企業はなぜ「強み」を捨てるのか 増強改訂版『日本”式”経営の逆襲』」を扱う4話目。
www.amazon.co.jp/dp/4334100910

キーワード3つ目は、
「文脈依存度を下げるべきなのか」

『日本”式”経営の逆襲』を企図する著者としては、
日本の優れた経営技術(ノウハウ)をグローバルに輸出していきたい。

それはつまり、
日本企業の現場で日々行われるノウハウの抽象度を上げて=文脈依存度を下げ、コンセプト化し、
「サムライ・スピリット」
「wabi-sabi(侘び寂び)」
のような日本風のプロダクト名をつけ、
世界に広め、日本企業・日本式の実力を知らしめる、ということだと解釈しました。

「確かに!元々いい経営技術を持っている日本企業が同じものを逆輸入させられて、良さを失う状態は変えたいよね」とまさに正しい方向性だと思う一方で、
私(粟野)としては、強いプロダクトをぶつけ合ってシェア競争・輸出と逆輸入をやり合う、
永遠に続く戦いの円環の中に入っていくだけのような、
そんな印象も受けたというのが正直な感想です。

同時に、星野さん曰くの「世に開かれる故の儚さ」という必然性にも思いが至ります。

文脈依存度を下げてコンセプト化した経営技術プロダクトを世界に出す、ということは、
つまり同時に他国(他者)にそのコンセプトなりを書き換えられる・再解釈される可能性に開かれるということ。

「仲の良かった幼馴染が、人気アイドルになり、遠い存在になってしまった。
もう俺の知ってる幼馴染じゃない・・・。嬉しいけれど、寂しい。」

その寂しさに似た儚さを感じて違和感を持った私がいたのかもしれませんが、最近流行りのアメリカの哲学者・リチャード・ローティ的にみると、「再解釈され続けることに開かれる」という態度が必要なのかもしれません。
一度出したプロダクトがずっと勝ち続けるという不可能な期待はしない。
幼馴染もステージや環境によって、変化していくことが自然である。

※この文脈(コンテクスト)やコンセプトの話にご興味ある方は、ぜひTAKRAM・渡邉康太郎さんの「コンテクスト デザイン」の”強い文脈・弱い文脈”の話もご覧いただけると面白いかと思います。
https://aoyamabc.jp/products/context-design

読書の時間 ep01-1/「コンテクストデザイン」(Takram渡邉康太郎さん)
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/ep01-1-%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3-takram%E6%B8%A1%E9%82%89%E5%BA%B7%E5%A4%AA%E9%83%8E%E3%81%95%E3%82%93/id1574537184?i=1000527397958

さて、次回は36冊目の5話目、こぼれ話の回になります。
ざっくばらんな展開になると思いますが、次回もお聴きいただければと思っています。

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