ep22-2 ハッピークラシー 「幸せ」願望に支配される日常(エドガー・カバナス/エヴァ・イルーズ)

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さて、本格的に解説に入る第2回。
今回3つのキーワードを辿りながら解説を進めていきます。
・ポジティブ心理学とグローバル化
・ポジティブ心理学と新自由主義
・ポジティブ心理学と仕事
・ポジティブ心理学とグローバル化
皆さんはマーティン・セリグマンという方をご存じでしょうか。
アメリカ心理学会の会長で、「ポジティブ心理学」のポテンシャルに着目し、
政治やビジネスと手を組みながら25年かけてその考え方を世界に広げていきました。
これにより、ハッピークラシーが蔓延る社会に変わっていった。
本著の中では、彼がハッピークラシーをつくり上げた悪の親玉扱いされています。
これまで測れないとされてきた幸せに、経済学とポジティブ心理学が尺度をつくった。
幸福度を指標化し、世界保健機関でも採用されるようになり、グローバル基準となった。
この尺度に沿って様々なビジネスが生まれた。
ただし、この世界統一の幸福度尺度が生まれたことにより、
適切な批判精神が国民から失われていった可能性があります。
・ポジティブ心理学と新自由主義
新自由主義とは、何よりも個人主義的な社会哲学だとされています。
個人が何よりも大事だ、という考え方が根本にあり、ここにポジティブ心理学がハマりました。
大変な苦境の中でも、自分の心構え次第で幸せにもなれる。
たとえばつらい環境は、これ以上ない学びの機会として変換できる。
こんな考え方が広まっていくにつれて、本来は社会が対応するべき問題だったものが、
個人の問題へと押し込められていきます。
幼いころから新自由主義・ポジティブ心理学で育てられてしまうと、
過剰に自己責任的に判断するようになってしまいます。
たとえば「幸福の方程式(Happiness formula)」というものがあります。
幸せ(100%)=遺伝子による設定値(50%)+環境(10%)+意図的行動(40%)
この方程式を少し読み解きたいと思います。
遺伝子的な動かせない要素を除くと、個人の行動で変えられることが8割。
環境という個人の努力では変えられないことが残り2割。
つまり、遺伝的な要素を除けば、幸せになれるかどうかはほぼ個人の行動にかかっている。
幸せであるかどうかは、ほぼ個人の問題である、と責任を押し付けられている、とも見れます。
・ポジティブ心理学と仕事
こうした考え方は、経営者目線で見ると最高の考え方とも取れます。
社員たちに対して、自己実現するのは自分たちの責任だよ、と言えるからです。
有名なマズローの五段階欲求説も、今の時代では逆転して使われていると言います。
まずは自己実現をしなければ、承認も生存も得られないと、都合よく使われてしまっています。
Zappos、Goole、IKEAなど社会的評判の高い企業も、
こうした論理のもとハッピークラシーを形成しているのかもしれません。
こうした幸せ願望に支配される状況に対する解決策として、下記が挙げられています。
・批判的な思考力や分析力を持つこと
・知識と社会正義、社会全体のことを考えること
普段中々気づけない視点に気づかされる本でした。
我々も個人ばかり顧みずに、たまには社会正義を考え、訴えていきましょうね。
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