3. 凝集日和

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Summary
絵画と斧投げ、広義のボルボックス目に属する三種を比較して多細胞性の仕組みを追求した論文について話しました。
Starring
エビ、イシ
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この余白は狭すぎる... (リンク付きの完全版はこちら, https://gist.github.com/StopCodonfm/4a87603fa8c30df838303fe9da536c85)

傷ついた天使 (原題: Haavoittunut enkeli) ... フィンランドの画家 Hugo Simberg の作品。イシのお気に入り。ヘルシンキのアテネウム美術館に所蔵されている。
ウィトルウィウス的人体図 (原題: Homo Vitruvianus) ... 実物の寸法は 34.4 cm x 25.5 cm。ちなみに脊椎動物ゲノムプロジェクト (GenomeArc) のヒトのページにはウィトルウィウス的人体図が採用されている。
バベルの塔 ... フランドルの画家 Pieter Brugel I の作品。エビのお気に入り。
雪中の狩人 ... 本編でイシが好きだと言っていた Pieter Brugel I の作品。
Axe throwing ... 斧投げ
THE AXE THROWING BAR ... 日本で斧投げが楽しめるバー
Hanschen et al. The Gonium pectorale genome demonstrates co-option of cell cycle regulation during the evolution of multicellularity. Nature Communication (2016) ... 今回紹介した論文。オープンアクセス。Supplementary file にクラミドモナス・ボルボックス・ゴニウムの生活環のイラストがある。
多細胞性 (Multicellularity)
門 (分類学)
後方鞭毛生物 (オピストコンタ)
Grosberg and Strathmann. The Evolution of Multicellularity: A Minor Major Transition?. Annual Review of Ecology, Evolution, and Systematics (2007) ... 多細胞性の総説論文。残念ながらオープンアクセスではない。この総説論文の Figure 1 を見ながら、多細胞性の獲得がそれぞれの門で独立に起こったことを説明した。
Bengtson et al. Three-dimensional preservation of cellular and subcellular structures suggests 1.6 billion-year-old crown-group red algae. PLoS Biology (2017) ... 16 億年前に多細胞性を獲得した紅藻の一種を報告した論文。
Umen and Goodenough. Control of cell division by a retinoblastoma protein homolog in Chlamydomonas. Genes & Developments (2001) ... クラミドモナスにおける Retinoblastoma (Rb) タンパク質のホモログの機能を解析した論文。
Rb 遺伝子
エンハンサー
Last Common Ancestor (LCA)
Pfam ... タンパク質ファミリーのデータベース。欧州バイオインフォマティクス研究所 EBI が運営。
サイクリン依存性キナーゼ (cyclin-dependent kinase; CDK)
レスキュー (遺伝学) ... 遺伝子の機能や発現を欠失させた時に見られた表現型を、当該の遺伝子の機能や発現を増加させて正常な表現型に回復させる実験をレスキュー実験という。
Zatulovskiy et al. Cell growth dilutes the cell cycle inhibitor Rb to trigger cell division. Science (2020) ... イシが言及した Rb タンパク質と細胞サイズの論文。哺乳類の培養細胞において、G1 期の細胞成長によって Rb タンパク質の細胞内濃度が "希釈" されることで、細胞サイズが恒常的に保たれるメカニズムを明らかにした論文。過去にエビが Journal Club で紹介していた。
プラスミド
エピスタシス
細胞外マトリックス
「染色体を一本につなげる論文」 ... Shao et al. Creating a functional single-chromosome yeast. Nature (2018) のこと。詳しくは Researchat.fm episode 41 参照。
分裂酵母 ... 分裂酵母に属する 4 種のうち、エビは Schizosaccharomyces pombe を実験に使っている。パン生地を発酵させるのに使われる出芽酵母とは異なる属である。
菌類 (Fungi) と多細胞性 ... 本編を収録した時点でエビは把握していなかったが、そのあと調べると過去数年で菌類と多細胞性に関する原著論文や総説論文が複数発表されていた (例、Heaton et al. A mechanistic explanation of the transition to simple multicellularity in fungi. Nature Communications (2020))。
Clade (系統群)
ウーパールーパーのゲノムの論文 ... Novoshilow et al. The axolotl genome and the evolution of key tissue formation regulators. Nature (2018)
Rafiqi et al. Origin and elaboration of a major evolutionary transition in individuality. Nature (2020) ... 過去にイシが Journal Club で紹介した論文。宿主の発生 (development) に必要な遺伝子をハイジャックして宿主 (アリ) の発生に不可欠になった共生細菌と、そのハイジャックが進化の過程でステップワイズにすすんだこと示した論文。これは分子遺伝学と系統の組み合わせだったが、microbiome-wide association studies (MWAS) などによってどんどんビッグサイエンス化していくとイシは予想している。
「エッセイ」 ... Schwartz. The importance of stupidity in scientific research. Journal of Cell Science (2008)
「スペクトラム」 ... イシが同日に紹介した mutation spectra のプレプリントを言及している。近日公開。

Editorial notes

多細胞性は引き続き注目していきたい。 追記: 余白が狭すぎる (エビ)
この日はドイツのネットが悪かったのかもしれない。(イシ)
収録日: 2021.03.28
編集: エビ

3. 凝集日和

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