121 第110話

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3-110.mp3部屋から顔を覗かせたのは年老いた男だった。まばらな白髪頭。老眼鏡なのか鼻メガネをかけている。上目遣いでこちらの方を注意深い様子で見る。「言っとったお客さん連れてきた。」三好がこう言うと老人は目を細めて、彼の後ろに立つ岡田を見る。頭から足の爪先までを舐めるように。「入んな。」人ひとりの出入りしか出来ないほど狭い玄関口。三好と岡田が靴を脱ぐと、それだけでそこは埋まった。上り框のところには灯油のポリタンクが二つ積み重ねられ、それが狭小さに拍車をかける。二人は身を捩..

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