眉かくしの霊・その5

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【完結】※眉かくしの霊・その4の続きエピソードです。
【鏡花怪異譚】大正13年発表。
愛人である画師の汚名を雪(そそ)ぐために木曽奈良井宿を訪れた芸者のお艶(つや)は
夜中に悪名高い大蒜婆(にんにくばば)の屋敷を目指す。
料理人の伊作は、旅籠の提灯でお艶を守護するように雪の中を先導した。
途中で提灯の火が消えたために伊作がお艶を残して旅籠へ戻ろうとすると
闇の中で鉄砲の音が響く。
とっさに駆け寄ると、雪中に鮮血を滴らせながら倒れるお艶の姿。

ここまで語ると伊作の顔色がさっと変わった。
部屋の向こうにボウと灯る提灯が見える。
そこにはいるはずのない人物が―――

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