EP#99 天気は「下る」けれど「上る」ことはない。これはなぜだろう?

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天気は「下り坂」とは言うけれど、「上り坂」とは言わないですよね。Facebookで僕の先輩記者が「これは、なぜなんだろう」という疑問を投げかけていました。今回はこれについて、考えていきたいと思います。

この先輩は、「地政学的に言えば、坂は上から歩く人には下り坂で、下から歩く人には上り坂だ。そこにいる人の立ち位置で表現が異なるだけで、本質は変わらない」って言うんです。
確かに標高500メートルの場所が坂道だとして、そこにいる人が上るか下るかで表現が違います。ところが、標高500メートルにいるということは変わらないですよね。上に向かって歩くか、下に向かって歩くかという行動の違いについて、これをなぜ天気に使うのだろう、というんです。

これの表現の背景をちょっと考えてみたらどうかな、と思うんです。例えば、雨の日に「天気が悪い」っていう言い方をしますよね。晴れの日は「いい天気」っていうでしょ。
ところが、天気自体にいいも悪いもないはずです。「いい」というのは、僕たちにとって都合がいいとか、気分がいいとかいう感覚です。いわば主観です。晴ればかり続いて雨が降らなければ、雨乞いをするわけです。悪いものを呼び込むことになります。だから、天気がいい・悪いというのは、僕たちの主観のもんだいです。

「天気がいい」というのは、僕たちの主観として「当然いいこと」だという認識というか刷り込みがあると思うのです。だから「天気がいい」ことが通常の立ち位置になっているということです。そこから天気が雨になれいば「天気が悪い」「下り坂」というマイナスのイメージが働くのではないか、というのが僕の考えなんです。

逆の視点で言うと「天気がいい」ということが通常であれば、天気が回復することをいちいち「上り坂」という必要はないということになる。つまり、通常の立ち位置が「晴れ」なんですね。先輩の言うように、立ち位置をどこに置くかの違いかも知れません。

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