EP#72 Chat GPTで文章をつくることについて、考えてみました

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今回はお問い合わせにお答えして、ChatGPTについてです。以前、頂戴してたのですが、勉強不足だったので、自分でも使ったうえでの感想などをお話ししたいと思います。

AI を身近に感じるようになったのは、2012年の第1回将棋電王戦です。そこでAI が米長邦雄永世棋聖に勝ったということにビックリしたんです。AI が「人間を超えた」ということを実感したのです。

ところが「もう将棋はAI の時代だから、将棋はAI同士の勝負を見ればいい」という話にはならないんです。藤井聡太さんがAI を相手に将棋の研究をして、AIを超える一手を楽しみにしているファンも多いと思います。あくまでもAI は、棋士が腕を上げるための道具として機能しているんです。

ところが不思議なことに、ChatGPTのような生成AI が出てきたら「文章を書く必要はなくなる」という話を耳にするようになりました。確かに便利なんです。
会議録や、簡単な調べ物をまとめたりするには、とても便利です。それは、あるものをまとめる作業をしているだけです。会議録なら、録音やテキストを生成AIに読み込ませなくてはなりません。調べ物なら、ネット上にある情報(正確であるかどうかは別にして)を検索し、まとめる作業です。

海の中を歩きたいという思いが、潜水用具をつくる切っ掛けになります。宇宙はどうなっているのだろうという思いが、天文学を生み、宇宙ロケットを開発します。AI にはそもそも海の中を歩きたいという思いや、宇宙はどうなっているのか、といった疑問を持つわけではありません。AI は、そうした思いや疑問に突き動かされた人たちの研究成果や営みの軌跡を抽出して組み立てることに長けているんです。

僕たちの思いや志は生成AI の知るところではありません。わからないことについては、まとめようがありません。ある情報をもとに文章を作成することと、文章に書くべき情報を生み出すこととは別です。読み手に伝えるための、情報のもとになる考えや、そこにいたる発想・思いつきなどのタネは、様々な情報を得たうえでのものです。こうやって新たに生み出された僕たちの発想のタネは、僕たち独自のものです。AIはこうした文章の元になる発想のタネを主体的に生み出すことはできません。

つまり、棋士がAIを使って指し手の研究をするように、文章のアイデアを生み出すためにAIを活用するという方向にすればいいし、テープ起こしや議事録などの時間が掛かる単純作業は、AIに任せればいいと思うんです。

もう一つ、ChatGPTが生成したデータが正しいかどうかの検証は必要になると思います。校閲という確認作業は今まで以上に重要になってくると思うんです。道具としてAIをどう使うことができるか、そこがポイントのような気がします。

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