新刊ラジオ ― 「話題の本を耳で読む」新刊JP公式ポッドキャスティング

株式会社オトバンク

新刊ラジオミニマム「儚い羊たちの祝宴」

みなさんこんにちは。ブックナビゲーターの南雲希美です。

今回ご紹介するお薦め本はこちらです!

新潮文庫よりでております、米澤穂信著「儚い羊たちの祝宴」という本です。 米澤さんといえば、大ヒットアニメの「氷菓」、映画化もされた「インシテミル」、そして高校生推理小説の「小市民シリーズ」など数多くの作品を出されていますよね。

「氷菓」や「小市民シリーズ」は青春ミステリといいますか、日常に潜む謎を登場人物たちが解き明かしていく、というストーリーで、シリアスな場面もありつつ、日常シーンはほのぼのしていて、こういう青春いいなぁ、なんて感じるところが多いのですが、今回ご紹介する「儚い羊たちの祝宴」は……怖い。

自分、本書読む前に小市民シリーズを読み返していて、その流れで読んだら「あれ?選ぶ作者さんの棚間違えた?」ってくらい、もの凄い衝撃でした。テイストが違うので、そういう読み方もお勧めですよ!

もはや比喩じゃなくて、背筋凍りました。

読んでるときはどこに伏線があるかわからないのですが、ラストまで読むと、理解と共に、なにか黒く冷たいものが背後を通っていくというか。(体験談)あまり脅し過ぎても怖くなくなっちゃうかな、と思うのですが、ひた…ひた…って。文章から冷たいものが確実に歩み寄ってきます。

決して幽霊的な怖さではないんです。ただ、本書の裏表紙にも書いてあるのですが「暗黒ミステリ」って単語がすごくしっくりくる。ミステリじゃなくて、暗黒ミステリ。

さて、そんな本書は、5篇の短編が収録された一冊となっています。とあるキーワードがどの物語にも共通で出てくるのですが、そのキーワードをめぐる五つの事件が、それぞれで描かれています。

自分が一番好きな短編は『玉野五十鈴の誉れ』というお話です。個人的にブラック度ナンバーワンでした。

(この物語、実は本書の前に色々な著者さんの作品を収録した別の短編集で読んだことがあったのですが、改めて読んでヒヤッっとなりました)

ざっくりあらすじを言いますと、このお