黒猫・その11 泉鏡花

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【明治28年発表】

黒猫・その10のつづきエピソード。
普段は聡明な上杉家令嬢の小夜子が
自身の母と愛猫の黒猫に対しては幼児のようにあどけなく振る舞うように、
絵師の二上秋山もまた、髪結いのお島にだけは心を開いていた。

それは姉と弟のように純粋無垢な感情であったが
お島の方は秋山に対して恋心を抱き、いつかは秋山の妻になること望んでいた。

心に秘めた恋心であったが、ある時、思いがけずお島は秋山に気持ちを知られてしまう。
秋山は毅然としてお島の愛情を拒んだが、お島への信頼は変わらないのだった。
思いつめたお島は、行商の魚屋に言いつけて酒の肴と酒を都合するように計らう。
いぶかしがる秋山に、お島は、これから別れの盃を交わすのだと答えるのだった―――。

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